起きよ、光を放て
−闇を取り込み、光に変えよ−
日本聖公会沖縄教区 主教 正義と平和委員長 谷 昌二(たに しょうじ) |
起きよ、光を放て。 あなたを照らす光は昇り 主の栄光はあなたの上に輝く。 見よ、闇は地を覆い/暗黒が国々を包んでいる。 しかし、あなたの上には主が輝き出で 主の栄光があなたの上に現れる。 イザヤ書60章1節〜2節 2009年の年明けは、真に重い気分で迎えました。昨年の半ばから始まって一気に加勢した世界経済の大不況の中、日本各地で、派遣社員始め臨時雇用者が次々と解雇、住居を失い、その日の生活に事欠く始末。これからどうなるのかとの不安の内に年末・年始を迎えようとしていたその時、イスラエルのガザ空爆、更には地上戦突入のニュースが届きました。頭にガーンと一発食らわされたような、又、胸が締め付けられるような衝撃を感じました。 そんな重い気分の中、1月6日の”顕現節”の聖餐式を捧げました。その時の旧約聖書のテキストが、イザヤ書60章1〜6、9節でした。 正に ”闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。” しかし、 ”あなたの上には主が輝き出で、 主の栄光があなたの上に現れる” とのみ言葉を聞いたのです。 そして、冒頭でイザヤは言うのです。 ”起きよ、光を放て”と。 この世がどんなに暗く悲惨であっても、必ず主が、闇を照らし、光に変え、その栄光を、私の上に輝かせて下さる。恐れるな、勇気を出せ、光を見よ!このみ言葉は、その時、私の慰めとなり、又、励ましとなって、心の奥深くに刻まれました。 その後、イスラエル・ガザの戦争はますます悪化。1月13日、日本聖公会正義と平和委員会は、即時停戦を訴える要請文を関係機関に送りました。 重い気分が晴れないまま、1月20日〜29日韓国での黙想会(聖フランシス修道会・孫シスターの指導による観想祈祷)に出掛けました。そして、そこでも又、イザヤ書60章のみ言葉を聞いたのです。 ”あなたの太陽は再び沈むことなく あなたの月は欠けることはない。 主が永遠の光となり あなたの嘆きの日々は終わる” 20節 孫シスターが繰り返し強調されたこと。それは、光と闇は、決して分けられるものではない。光と闇は一つ。月は、新月から徐々に周りの闇を取り込み、吸収しながら、満月へと満ちて行くのです。天地創造の初め、地が混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の上を動いていた。神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。光と闇、昼と夜、夕と朝、これは皆一つのもの。闇から光を輝かす。これが神の業。恐れることはない。「起きよ、光を放て。」あなたが光となる!この喜びを神は私たちに託しておられるのです。 黙想会を終えて、大きな慰めと勇気を胸に、沖縄に帰ってくることができました。 |