今一度「平和憲法」に思いを深めたい
井関三郎 
キ政連(キリスト者政治連盟)常任委員 

過日、日本被爆者協議会が今までの働きを評価されてノーベル平和賞を受賞しました。世界唯一の被爆国日本故、被爆者たちのたゆまぬ働きの成果であり、大変うれしく思います。
核はあってはならない。戦争はあってはならない。これは自明の理であるのですが、核保有国が世界には10か国以上存在し、世界には核が12,500発あるとされています。このうち、どれほどの核弾頭が、今現在、敵国と称される国の空に向かってミサイルにセットされていることか…。世界が相互に信頼し合わなければ、将来的にいつの日か世界滅亡の時がやってくると思われます。そう思えば今回のノーベル賞受賞を機に世界の平和に向かって益々、その働きが広がっていくことを願わざるを得ません。しかし、現在、それとは裏腹に核使用の恐れを感じさせる戦いがウクライナやガザで行われ、連日のように多くの一般市民を含め多数の命を奪っています。
 さて、日本は戦争の痛みと反省から戦後まもなく平和憲法を誕生させました。憲法9条がそうです。憲法9条が平和憲法と呼ばれるのは、国権の発動たる戦争・武力による威嚇又は武力の行使の永久の放棄。そのために、陸海空軍その他の戦力は保持しない、国の交戦権は認めない。と明記されているからです。他国にはこのような憲法はありません。以前注目された国に中南米にコスタリカという国があります。この国は、九州と四国を合わせた程の小国です。人口も510万程で日本の人口の4%ほどの小さな国です。
 この国が何故注目されたかといいますと、この国は過去、大統領選挙をめぐっての内戦があり、その内戦の反省から兵器を破棄、その経費も教育に振り向け実行した国だからです。コスタリカの憲法12条には、恒常的制度として軍隊を禁止する。公共秩序の監視と維持のためには必要な警察隊を置く。となっています。ということで日本国憲法と同じ非武装平和憲法として注目されたのです。とはいえ、小国ゆえに「軍隊は大陸協定ないしは国防のためにのみ組織できる」という条文もあり、再軍備の可能性を残しているようです。とはいえ、兵器を放棄し予算を教育に振り向けた姿勢はこの国のある方向をしめしていて高く評価したいと思います。
 さて、平和憲法を謳いながらいつしか、5年間で防衛費43兆円。それも今後さらに増額をもくろむ政府。(この43兆円は国会で審議せず閣議決定でことを進めてきたのは、暴挙そのもの)当面、所得税に上乗せするのは控え、そのための増税をたばこ税・法人税で賄うようです。以前、「キ政連」の紙面で櫻井牧師が防災省設置を謳っていましたが、それを含め、今一度平和憲法に思いを深めたいと思います。
                 (いせき さぶろう)