今年、日本福音道営(JEA)は、「戦後70年にあたってのJEA声明」をだしました。その冒頭に、「私たち福音派キリスト教会が結集した原点」として、「自由主義神学との対峙」と「ナショナリズムとの対峙」を軸としてあげています。また、1974年に開かれた世界的な告白ともいえる「ローザンヌ誓約」においても、「伝道」と「社会的責任」が大きな柱となっています。とかく福音派は伝道のみに集中する傾向を持ってきましたが、常に過去の反省に立って社会との関わりを標榜して来たのです。 日本の福音派の歴史を振り返りますと、1959年の「日本宣教百年記念聖書信仰運動大会宣言」において、偶像崇拝を廃棄できなかったことを悔改め、現行憲法が政教分離原則に基づき、信教自由の基本的人権を保護する点を支持し、国家行事の中に宗教的要素が混入しないよう監視する努力を貫いて、国家と教会の正しい在り方のために信仰の戦いを戦うと誓いました。そして1968年、「聖書はすべて誤りなき神のみことばであり、信仰と生活の唯一の基準である」(JEA規約第3条1)との信仰によって、JEAが設立されました。 そのJEAは1995年、「戦後50年にあたってのJEA声明」において、「私たちは今、・・・偶像崇拝の罪を自ら犯すとともに、近隣のアジア諸国の教会に対してもそれを強要し、また、アジア諸国への侵略に加担した日本の教会の罪を神の御前に悔改め、近隣のアジア諸国の教会に対して心から謝罪し、赦しを求めます」と表明しました。また2005年、「戦後60年にあたってのJEA声明」において、「戦後60年、それ以前の戦争に明け暮れた大日本帝国とは全く違って、日本国が戦争に加担することはなく、近隣諸国とはもちろん、世界のどの国とも平和に過ごすことが出来たのは、日本国憲法があったからでした。」と、日本国憲法の「徹底した平和主義・国際主義が根本において福音の主であるイエス・キリストの理念と精神に合致するものである」と認めています。そして、今回の「戦後70年にあたってのJEA声明」において「私たちJEAは、戦時下における日本の教会の罪の歴史と悔改めの決意を次世代に伝えます」と、決意を新たにしました。 私たちは、再びこの国が戦争に向かうことのないよう過去の歴史から学び続け、天皇制ナショナリズムによって私たちの信仰が弾圧され、他国の信仰者を弾圧することにならないよう、監視し、祈るとともに、社会的責任を果たして行きたいと思っています。 (しばた ちえつ)
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