「平和を実現するために」


金 柄鎬(キム ビョンホ)/在日大韓基督教会 総幹事


 去年(2013年)10月に行われた在日大韓基督教会の第52回定期総会において二つの声明文が採択されました。

 一つ目は「在日大韓基督教会社会的態度表明」です。1世紀以上日本の社会で共に暮らし、友情を交わしてきた在日キリスト者が、正義と平和を希求し、社会に仕えること、そしてこれからも子々孫々に暮らし続けるものとして、生きとし生けるすべての生命を尊重し、互いに助け合うことが、東アジアおよび世界の平和に繋がることと確信します。そのような決意が、この中には込められています。主な内容は次の通りです。

(1) 日本政府に脱原発政策を求める。
(2) 東日本大震災地の外国籍住民を孤立させてはならない。
(3) 政府から独立した「国内人権機関」の設立されることを願う。
(4) 自由と尊厳を奪う改定入管法が改正されなければならない。
(5) 「記憶されない歴史は繰り返す」という言葉を忘れてはならない。(過去の歴史清算)
(6) 「外国人が暮らしやすい社会は日本人にも暮らしやすい」というスローガンのもと、国籍を問わず人として平等に暮らす権利を保障する「外国人住民基本法」成立を求める。

 二つ目は、日本自民党による、「信教の自由・政教分離原則」を破壊する憲法改正案に対する声明です。その内容は以下の通りです。

 日本政府によって戦争放棄を謳った憲法第9条を戦争のできる国家として変更されようとしていることと共に、政教分離の原則に立つ信教の自由(第20条、第89条)が侵されようとしていることに対し、重大な危機感を抱いています。戦前の「大日本帝国憲法」の制定以来、敗戦まで、天皇制、国家神道のもとに、政教分離の原則は壊され、信教の自由は侵害されました。その故、キリスト教を始め、他のすべての宗教は「国家の主旨」にしたがって神社参拝などを強要され、それは偶像崇拝となるという理由で拒否したキリスト者は弾圧を受け、苦しめられました。敗戦によって政教分離の原則を確立し、現行の日本国憲法が公布され、1947年5月3日に施行されたのが第20条、89条であります。
 しかし、この度の自民党改憲案においては、信教の自由を保障する主体が「国」(国家)として位置づけられ、国家権力によって踏み越えられてしまう余地が作られているのです。。

 わたしたち在日大韓基督教会は、1908年に宣教の歴史をこの日本の地にはじめました。依頼、朝鮮半島から流浪してきた民の中から、キリストによって呼び集められながら、神の国の平和を求めつつ歩んできました。この日本が平和憲法に基づき、平和を実現する素晴らしい国であることを、これからも祈り続けます。

(キム ビョンホ)






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