全ての人々に聖書のみ言葉を


渡部 信(わたべ まこと)/日本聖書協会総主事


聖書協会のはたらき

 日本聖書協会は、「全ての人々に聖書のみ言葉を」をスローガンに聖書を翻訳・製作・出版・頒布している一般財団法人です。その使命は、「信頼に足る翻訳作業によって、全世界に分布するそれぞれの母国語で、誰もが手にできる方法で頒布する」聖書の普及活動です。
 日本聖書協会は、前身のスコットランド聖書協会が1875年に、翌年には米国聖書協会と英国聖書協会が日本に支社を置き活動を始めて以来、文語訳聖書、口語訳聖書、新共同訳聖書を出版・頒布してきました。現在の日本聖書協会は前身の3つの聖書協会支社が1937年に統合し組織されたものです。2013年時点で146の聖書協会が加盟している聖書協会世界連盟(UBS)に属し、全世界の国と地域を視野に、相互支援をしています。

"赤い表紙"の聖書

 過去の歴史を振り返りますと、第二次世界大戦時中はその活動が当時の政治状況によりほぼ中止に追い込まれました。戦後、敵国であった米国聖書協会が日本復興のため多大な募金活動を行い、日本聖書協会への資金援助と共に400万冊近い「赤表紙」の日本語訳聖書が無償で提供され、多くの日本人に福音のメッセージを届けることができました。
 「全ての人々に聖書のみことばを」ということは、政治体制、宗教の違い、民族間の争い、いかなる思想の枠組み等を超えて、この「永遠に変わることのない聖書のみ言葉を」一人一人へ届けるということです。

海外への支援活動

 中国には、南京に聖書印刷工場の建設資金として、1988年に1億円を日本から支援しました。これは中国人によってでしか聖書製作が許されなかったからです。その結果、20年足らずで6,000万冊もの聖書が中国国内で頒布されました。旧ソ連と共産圏国にも、1990年から日本から9千万円を支援し、その結果、東ヨーロッパ諸国に聖書協会事務所が復活し、聖書製作・頒布が開始されました。日本から毎年3,500万円の海外支援を行い、アフリカ、中央・南アメリカではほとんどの国に聖書協会事務所が設置され、約7,000言語への聖書翻訳がなされております。イスラム圏の一部の国を含む約50か国では、聖書頒布が認められておらず、水面下で聖書翻訳と製作作業が行われています。


 人間の本質が内側で神と敵対している限り、真の平和と神の国はもたらされません。すべての人は主にある兄弟姉妹として創造され、愛され、召されているという信仰のもとに、神との和解を通して、すべての人が平和を愛する人々となるように祈ってやみません。

(わたべ まこと)






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