提言「9条と共に25条を」


日本キリスト者医科連盟       
大久保 進(おおくぼ すすむ)

 私はNCC(日本キリスト教協議会)の委員として奉仕すると共に、稲城9条の会のお手伝いもしています。
 10月11日には、この会の主催で堤未果さんを迎えて「私は9・11を体験した、そこから見えたものは・・・」との講演会を稲城中央公民館で開きました。
 今年9月15日のアメリカのリーマン・ブラザース経営破綻に始まる米国経済の破綻は数日で全世界に広がり、日本も例外ではありませんでした。
 かつて1929年10月24日(木)アメリカニューヨークウオール街での株価の大暴落に始まった世界恐慌に匹敵するとも言われています。
 堤さんは9・11を体験(2001年)した当時から、既に今日の米国経済の状況を予知され、「ルポ貧困大国アメリカ」を出版し、日本もまた同じ状況を迎えることを警告しました。
 その予言どおり今、国のセーフティー・ネットは破綻し(家族の支えの喪失、健康保険未加入者の増加、生活保護体制の崩壊)、多くの企業が派遣労働者・日雇い等によって支えられている状態です。これはアメリカも日本も国が社会保障の責任を放棄し、その責任を民間企業へ委託した結果だと指摘しています。
 同じ岩波新書で湯浅誠さんも「反貧困」を出し、NPO「もやい」の事務局長として野宿者の受け入れから受け入れから福祉事務所の拒否の相談等、具体的活動を紹介しています。
 私は平和を実現するためには、その思想的・信仰的基盤を確立することの大切さも思いますが、同時に具体的活動も欠かせないと思います。
 平和運動と共に、庶民の生活基盤に対する支えも大切にしたいのです。
 今、堤さんも湯浅さんも9条と共に25条の確立の大切さを訴えています。同感です。
 平和は具体的生活の中でこそ確立されるべきだからです。

 第25条「生存権、国の社会保障義務」
1.すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国はすべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 過日カトリック正平協の20条の会発足式に出席して20条バッジを頂いてきました。私はそれを胸につけると同時に、こっそりとその裏に25と書かせて頂きました。
 NCCに関わるようになって、カトリックの方々とも交わりを持てるようになり、上智大学で勉強会にも出席させて頂き、神父さん方の大学での研究と共に、寄場での野宿者へのお世話などその実践活動との一致に敬意を抱いています。9条と共に25条との思いは、こうした交わりからの結論でもあります。

注1.堤未果 「ルポ 貧困大国アメリカ」 岩波新書
  2.湯浅誠 「反貧困」           岩波新書




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