軍備全廃と平和共存を実現しよう


東京聖書集会
中尾猛(なかお たけし)


 1945年8月15日に第2次大戦が終わって62年になる。ドイツはNATOの一員として、コソボ紛争の時には空爆に参加した。日本はイラク戦争のときに戦争に参加しなかったが、復興支援に名を借りて、イラクの占領を行ったようなものである。また、米軍のアフガニスタン攻撃の時からインド洋上で多国籍軍、主として米軍、に燃料補給を行ったことは、間接的であっても、戦闘参加と言える。日本には、北海道から沖縄まで米軍の基地があり、米軍の占領がまだ続いているようなものである。そればかりか、食料や中東の原油や市場など、アメリカの経済支配下にある。アメリカ政府の言うことを聞かないと生きていけない国になってしまった。こんな情けない日本政府を構成する政治家を誰が選んだのだろうか。
 日本が自主独立の主権国家として生きていくためには、日本国憲法を実行して、平和国家として再生することが唯一の道である。日米安保(軍事同盟)を忍耐強く日米友好同盟に変える努力をして、暫時米軍には撤退してもらい、周辺の国々とも友好関係を築きつつ、極東の安全を確立しなければならない。自衛隊も少しずつ縮小して専守防衛の線まで戻すことはできるだろう。また日本は唯一の被爆国として、核兵器や生物化学兵器の全廃を訴えていく使命がある。人類の絶滅を防止するために、できるだけ早い時期に国際監視機構を創設して、これらの兵器の全廃を急ぐ必要がある。ラッセル、アインシュタイン、湯川らの遺志を受け継ぐべきである。軍備に使用する資金と科学を、地球が抱えている環境・砂漠化・食料・貧困・恵まれざる地域の医療・難病・新しいエネルギーの解決に振り向けることも急務を要する。
 攻めてきたらどうするかより、人間が平和共存して生きる道を考えるほうがよい。カナダは8万、ニュージーランドは1万の軍隊で国を守り、コスタリカは軍隊なしで国を守っている。しかし他国が攻めて来ることはない。今までの歴史を見ると、一国の巨大な軍備が他の国の巨大な軍備競争を誘発している。世界中が軍備を大幅に縮小するか、廃止すれば、軍事力によって問題を解決する必要はなくなる。戦争によって多くの尊い生命が失われてきた。核戦争が起きれば、人類は絶滅する恐れがある。人類が生き残るためには、持てる国と持たざる国が分かち合い、協力しあって平和共存することが大切であると思う。
 平和共存という言葉は1954年のネール・周恩来会談、1955年のアジアアフリカ・バンドン会議で使われた。大国のエゴを捨て、宗教・政治国家体制の相違を尊重し、乗り越えて、一国一票のバンドン会議の精神に戻ることが大切である。資源・エネルギー・食料等の独占を考えるのではなく、分かち合い・協同開発を考えながら、地球環境と人類の平和共存を考えていく時代であると思う。

「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」
                    レビ19・18





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