「悔い改めにふさわしい実を」

キリスト者政治連盟 副委員長
坂内 義子(ばんない よしこ)



 戦後60年の今年、私たちの国では軍国主義回帰志向の憲法「改正」案が目の前につきつけられています。一方、島根県が「竹島の日」を制定したり、「新しい歴史教科書を作る会」の教科書が検定を通ったことなども合わせ、悔い改めを知らない日本の状況がアジアの人々の心に再びとげを突き刺しています。
 韓国の廬武鉉大統領が一度は「歴史問題を争点としない」と言いながら、今は日本の歴史問題に対する取り組みには厳しく批判していますし、昨年来韓国では日本の戦争責任を清算するため歴史資料の掘り起こし作業も進んでいます。中国でも教科書問題、小泉首相の靖国公式参拝、東シナ海のガス採掘問題などで反日運動が燃え上がっています。小泉首相の国連常任理事国入りの希望表明もアジアの人々の神経を逆撫でしています。このような状況について4月14日付『朝日』が社説で「靖国問題や教科書問題ばかり強調され、日本への認識に相当な偏りがあるのでは」と述べていることに驚きます。確かに日本は平和憲法をもっていますが、軍事大国としていつ牙を剥くかわからないと、アジアの国々は心の底から信頼はしていないでしょう。民間外交で和解と友好を1つひとつ積み上げ努力して信頼を深めてきたものさえも崩されかねない状況です。
 やはり、ここで考えなければならないのは、日本の戦争責任の取り方です。口先だけの謝罪でごまかし続けた戦後処理では、決して本当の信頼関係を築きえないことをもういやというほど知らされてきたのではないでしょうか。いつまでも戦後責任でもないだろう、とか相手国にこの壁を乗り越えて欲しいなどと言う声もありますが、それは日本人の驕りです。加害者であることは何年経とうが消せる事実ではないことを思うとき、遠回りでも国としての公式謝罪と賠償を第一優先課題として取り組まなければ決して先には進めないのです。これは自虐史観どころか「悔い改めなければ滅びる(ルカ13:3)」のみ言葉から思う愛国心です。また同時に平和憲法を遵守し、憲法を変えるのではなく政治を変える、つまり日本は二度と武器を持たないという約束を態度で示すこと、具体的には、自衛隊基地の縮小・撤去、首相の靖国参拝の中止等が隣国とのゆるぎない信頼関係を構築するために必須の条件です。
 そしてその上で、次に日本のできることは国連への提言です。国連憲章では、話し合いで決着がつかないときは陸・海・空軍が行動をとるという規定がありますが、この国連軍の廃止をぜひ日本が提言し、更に各国の非戦・非武装の日本国憲法9条を紹介し世界中の各国憲法にその平和条項を盛り込むことを薦めて欲しいものです。それこそ「悔い改めにふさわしい実を結ぶ」(ルカ3:8)こととなり結果として日本が国際社会で信頼と尊敬を得る地位も与えられるでしょう。
 キリスト者政治連盟は今年30年を迎えました。日本の右傾化が進む中、課題の多さに押し潰されそうですが、今こそ私共は正義と平和が地上に樹立されるよう祈りつつ、信仰の証として責任ある発言と行動を積極的に行っていかなければと決意を新たにしています。





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