人間に従うよりは、神に従うべきである。
土屋 徹
東京聖書集会 
 ローマの信徒への手紙13章1節(口語訳聖書)『すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。』という聖句の解釈の誤りにより、第二次世界大戦中のドイツ諸教会や日本のキリスト教会が戦争に賛成し、協力した歴史があります。その中で政池仁先生など、ごく少数ですが戦争に反対し続けた伝道者もいらっしゃいました。
 使徒言行録4章(新共同訳聖書)には使徒たちが人間的権力ではなく、神に従った消息が書かれています。「あなたがたが十字架につけて殺し、神が死者の中から復活させられたあのナザレの人、イエス・キリストこそ、『あなたがた家を建てる者に捨てられたが、隅の親石となった石』です。わたしたちが救われるべき名は、天下にこの名のほか、人間には与えられていないのです。」さらに「神に従わないであなたがたに従うことが、神の前に正しいかどうか、考えてください。わたしたちは、見たことや聞いたことを話さないではいられないのです。」とペトロは力強く証しています。
 ペトロは、イエス様が捕らえられた時、三度イエス様を知らないと言い逃れるような弱い人間でしたが、復活のイエス様に出会って変えられた、全く違う人間になったのです。
 政池聖書集会と東京聖書集会のエクレシアの中で、私は中尾猛兄(1937-2024)に多くのことを教えていただきました。兄は『人間に従うよりは、神に従うべきである。』と憲法と平和をまもる・戦争に反対する活動を生涯貫かれました。その活動によるメッセージは「神に従わないであなたがたに従うことが、神の前に正しいかどうか、考えてください。わたしたちは、平和のために行動しないではいられないのです。」というものでした。それは、使徒言行録のペトロの証と共通しています。
 具体的には憲法記念日の「憲法集会」、「敗戦の日の集会」、「キリスト教独立伝道会主催平和講演会」、「憲法違反の集団的自衛権行使に反対する集会」、「戦争法案反対集会」、「沖縄辺野古新基地をつくらせないための現地集会を応援するゴスペル」、「クリスマスキャロリング」、「さようなら原発全国集会」、「共謀罪反対・国会前行動」などです。多くの平和を守る活動を兄は体が弱っていく中でも毎年続けられました。その中で、カトリック、プロテスタントというキリスト教の宗派を越えて、神に従う多くのキリスト者との連携を続けられました。
 昨年3月16日に故中尾兄は天に召され、十字架の救いによって罪を赦され天国にいらっしゃいます。東京聖書集会の礼拝において、兄が天に召されて寂しいこともあります。しかし、天国に召された多くの先輩と共に行う天国における礼拝の希望を持って、聖日礼拝を続けております。 
                   (つちや とおる)