日本政府に対し、核兵器禁止条約に
早期署名・批准を求める日本友和会声明

 2017年7月7日、核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約(以下「本条約」)が国連加盟国の3分の2以上となる122ヶ国・地域の賛成を得て採択され、その後、発効に必要な50ヶ国以上が署名・批准して2021年1月22日に発効した。
 本条約は前文と20ヶ条から成り、その前文において核兵器が二度と使用されないよう保障するための唯一の方法は、核兵器の完全な廃絶であるとし、被ばく者(hibakusha)及び核実験の被害者の苦痛を考慮し、核兵器の法的拘束力のある禁止こそ、核兵器のない世界の達成維持に向けた重要な貢献になるとしている。その上で、本条約の締結国は、この目的に向けて行動する決意を宣言している。
 しかし、核兵器保有国はこの条約に一ヶ国も署名・批准しようとしない状態で一年が経過した。一方、今年1月3日、国連安全保障理事会常任理事国で核兵器を保有する米英仏中ロの5ヶ国が「核戦争に勝者はない」という声明を発表した。これは、いま世界に存在する1万3千発の核兵器の使用は人類滅亡につながる、すなわち使用することのできない兵器である事を自ら認めた事に他ならない。この背後には、核兵器廃絶を謳う本条約の発効が強く影響した事を確信する。
 1945年8月の広島及び長崎に対する米国の原子爆弾の投下は、日本の被ばく者による「核兵器のない世界」を希求する声の原点となった。96年の歴史を刻む非戦平和団体・日本友和会は一貫してその声に耳を傾け、日本政府が原子爆弾投下による被害を受けた唯一の被爆国として、世界に率先して核廃絶に貢献することを求めてきた。
 しかし、我が日本は、「批准国と非批准核保有国との橋渡しをする」というアメリカに配慮した耳ざわりのよい理屈で、いまだに批准していないばかりか、3月に予定されている締結国会議にオブザーバー参加すらしようとしていない。我々は本条約に批准することはむしろ橋渡しの役割に大きく寄与すると確信するものである。
 当会は、今こそ被爆地広島選出の岸田文雄氏を首相とする日本政府が、最低限、締約国会議にオブザーバー参加するとともに、この条約に速やかに署名・批准する事を強く要望する。

 2022年1月22日(核兵器禁止条約発効一周年の日)
      日本友和会(Japan Fellowship of Reconciliation)
                       理事長 水戸 潔