神からの嗣業・・・シャロームの実現は我々の使命

日本自由メソヂスト教団 書記 安藤眞一
 去る4月8日、私たちの教団本部である布施源氏ケ丘教会の献堂式が行われ、教団内外から83名の皆様が参列。全国各地、各教派からも多くの祝電、メッセージをいただきましたこと、心から御礼申し上げます。新たな決意で地の塩・世の光として新会堂が主に用いられることを祈りました。この日、私は午前の礼拝における説教で『100年先の友へ 命のバトンリレー』と題し「神から与えられた命を100年先の友にバトンリレーしよう、この教会から100年間の福音伝道が続けられるハレルヤ」とやや興奮気味にメッセージ致しました。
 旧約聖書では嗣業の土地というお話があります。嗣業の定義は、神から受け継いだ賜物、具体的には土地、富など相続財産、占有物を意味し、目に見える形です。私たちの新しい会堂も嗣業の土地が与えられた、と言えます。でも聖書には形の見えない嗣業も告白されていますね。申命記10章9節は「それゆえレビ人には、兄弟たちと同じ嗣業の割り当てがない。あなたの神、主が言われたとおり、主御自身がその嗣業である。」レビ人には嗣業の土地が与えられなかった。しかし神様ご自身がレビ人の嗣業、目に見えない霊的な信仰が嗣業だ、との告白は重要だと思います。私たちにとって目に見えない嗣業とは、命でありシャロームだと私は確信しています。
 以前にニュースレターの巻頭言で「嗣業の土地」成田・三里塚の地で違法な国策によって先祖伝来100年間耕作してきた農地を強奪されようとしている農民の市東孝雄さんの頑張りについてお伝えしました。父・東市(とういち)さんが1987年から有機完全無農薬の野菜づくりを始め、その後東市さんが亡くなられたため、孝雄さんは1999年から家に戻り受け継ぎました。ところが、2003年、農民として生きることに自信と誇りを持つようになったころ、突然、成田空港会社(NAA)から、畑の明け渡しを求められたのです。「畑が暫定滑走路の誘導路のじゃまをし、『へ』の字に曲げている。運航の効率上直線にする」、だから「畑をよこせ」というのです。国家権力や空港会社は本人の同意もなしにインチキな書類をでっちあげ、力づくで追い出し、成田空港の整備を図ろうとしています。これは単にこの農地を守ることでなく日本の農を守り、命を生み出し、平和を実現する農業活動であることを強く思います。それゆえこの運動は、沖縄で福島で関西で大いに取り組まれています。
 いま千葉地裁で農地を最終的に強奪しようとする裁判が続いています。この7月にも早期結審農地強奪の不当な判決に向かおうとしている動きに、キリスト者の皆さんが注目し、ぜひ裁判の傍聴に参加していただきたいと願います。(5月24日と6月28日いずれも午後2時千葉地裁)。敬虔なクリスチャンの戸村一作さんが委員長として開始された三里塚闘争、神が与えた嗣業は、まさに命と平和、シャロームを繰り出す大切な活動です。祈りながら勝利を目指しましょう。
                       (あんどう しんいち)