沖縄と本土の報道の温度差をなくそう

飯高 京子 日本友和会
 3月上旬、伊江島で「沖縄のガンジー」と呼ばれる阿波根昌鴻(あはごん しょうこう)さん(1901〜2002)の誕生日前後に開催される非暴力の学習会に参加した。生前の阿波根さんを知らない人達も大勢、全国から集まってくるのは何故か?それは彼が徹底して実践した非暴力精神による赦しと和解への生き方を学ぶためである。
 伊江島での集会後、私達は高江と辺野古での座り込みに参加した。何とその時、座り込み中に車に轢かれて大怪我をされた84歳の平良悦美さんにお会いした。「もう大丈夫ですか?」とお尋ねしたら、彼女は微笑みながら「ええ、この座り込みは今年で21年目です」と答えられた。辺野古の海岸を埋め立てるには350万トンの土砂が必要だが、現在はやっと2万トンを投入したに過ぎないとのこと。毎朝、10トントラック数十台が基地のゲート前に到着。搬入阻止の座りこみの人々を力づくで排除した後、トラックはゲート内に入る。座りこみ者数が多いほど工事は遅れる。怒号の中の強制排除の間、悦美さんはまだ足の怪我が完全に癒えていないので、皆から少し離れて見守り、県警の青年達は悦美さんをかばうように立っていた。何と、彼女は彼らから「先生」と呼ばれていた。私達を案内して下さった70代の石原艶子さんも「先輩」と呼ばれている。強制移動させられた私達はトラック搬入が終わる迄、警官の輪の中に留め置かれた。私は前に立っている警官にそっと尋ねた。彼は那覇から通う31歳。「皆さんは反対する権利がある。僕は皆さんを守るのが任務です」。
座り込みの人々が乱暴に扱われて怪我人続出と聞いていただけに、根気よく続ける座り込み運動が、県警の若者たちに影響を与えているのはすごい。そこに対話の糸口がある。
本土で誤った情報が流されたこともあったが、座り込み参加者は報酬など受け取っていない。偽の情報は本土の人々の沖縄への無関心さを助長している。現地と本土との報道の温度差は非常に大きいが、それに気づかない。沖縄の新聞の電子版を読めばよいと言われても、コンピュータを自由に操作できる高齢者はまだ少ないし、若者はネット上の偽情報にまどわされやすい。やはり紙媒体は大切である。
 皆さん、教会や地元の9条の会で沖縄の新聞を共同購読しましょう。地元の図書館や公民館にもぜひ沖縄の新聞を置くよう訴え、沖縄と本土の報道の温度差をなくしましょう。
                     (いいたか きょうこ)