「憲法24条も狙われている」

川野安子  (公財)日本キリスト教婦人矯風会
 日本キリスト教婦人矯風会は創立130年になりますが、最初の活動は一夫一婦制の実現を求めて、建白書を元老院に提出したことです。これは側室を持つ皇室にたて突くことになり、不敬罪にもあたりかねないと決死の覚悟の行動でした。忍従を強いる女性差別に物申したのです。
 新憲法が施行され70年を迎えました。旧憲法、戦前の家長が支配した家制度では女性差別のみならず、家族の男性間でも序列があり、差別がありました。国民は天皇を頂点とした国家の一員。家族も戸主が上に立つ支配関係で、家制度は天皇制を戴く国家の雛形でした。GHQは憲法の人権条項の作成をベアテ・シロタさんに任せたのですが、日本に長く住み、女性の無権利をよく知っていたベアテさんは女性と子どもが幸せにならなければ平和にならないと、女性の人権「法の下での平等」、「両性の本質的平等」を13条、24条に明記することに尽力しました。無能力者として扱われていた女性が夫婦同等の権利を持つ事が明確になったのです。
 今自民党は憲法改正に強い意欲を示しています。9条、緊急事態条項の確立と共に24条が標的になっています。自民党草案では、24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」を追加し、家族の助け合いを義務付けようとしています。今国会の提出を目指す家庭教育支援法が成立すれば家庭教育に公権力の介入を許し、画一的な家庭教育を押し付ける事が懸念されます。改憲勢力は行き過ぎた個人主義が家族を崩壊させ、少子化の原因にもなっていると攻撃し、24条の改変を狙っています。
 矯風会のシェルターに入所して来る虐待やDV被害を受けた女性たちには、男性中心の性別役割を押し付ける家族観や親の支配的な家族観が背景にあります。伝統的な家族観のためにいかに多くの女性や子どもが犠牲になっているか日々実感させられます。「家族は助け合わなければ」と普通に話す事と、憲法に「家族の扶養義務」を明記することは明らかに違います。
 9条は注目されますが、24条はあまり注目されていません。三世代同居家族、サザエさんが理想とされ、個人の生き方、家庭のあり方に介入する伝統的な家族への回帰は、社会保障費の削減の意向とも軸を一つにしていると思わさるを得ません。個人の尊厳も、ジェンダー平等も骨抜きにされる事を恐れます。24条の改憲は女性だけの問題ではなく、急速な右傾化によって自由な生き方の選択を阻止され、生きにくい社会が到来しようとしています。ますます見張り役が必要です。
                        (かわの やすこ)