「今こそ信じる」

平良 愛香   平和を実現するキリスト者ネット
(キリスト者平和ネット)事務局代表


 ご挨拶を兼ねて、巻頭言を書かせていただきます。
 わりと最近、ある人にこんなことを言われました。「戦争法案に反対とか、辺野古新基地建設に反対とか言っているけど、それは理想論であって、今近隣の国から日本が脅かされている中では、現実的ではないのでは?」ときどき耳にする言葉ですが、今回は思わず絶句してしまいました。その発言がキリスト者によるものだったからです。
 あらためて、「私が平和の行動に駆り出されているのは信仰によるものだということを、もっと本気で『教会にも』伝えなければ」と思わされました。首相官邸前での定例のゴスペルを歌う会などでも時々話している、「『宗教者は理想や夢ばかり語っていて、現実を見ていない』と言われることがあるが、宗教者が夢を語らないで、誰が語るのか。キリスト者が平和の実現を信じないで、誰が信じるのか」ということを、今強く感じています。
 私は自分が「平和活動家」だと思ったことはありません(ネットに書かれたことはありますが)。神が造り、良しとし、愛おしんでいる命を大切にしなければならないという、キリスト者としての生き方を貫こうとしているだけですし、共に生きられる世界を神が望んでおられるのだから必ず平和は実現すると信じている、そういうキリスト者としての信仰を表明しているだけなのだと感じています。そしてそれは、「私が倒れたら終わってしまう個人の信仰」ではなく、「たとえ私が倒れたとしても崩れることはない、みんなの信仰・希望である」と信じています。それがキリスト者平和ネットの目的だとも思うのです。
 キリスト者平和ネットの事務局代表というのは、その先頭に立つ者という意味ではなく、平和の実現のために立っている皆さん一人一人が先頭であり、そのネットワークの事務局の代表に過ぎないと私は考えています。もちろん時には代表として緊急に判断せざるを得ないこともあるかもしれませんが、基本的には皆さんと同じ位置での活動です。共に祈り合いましょう。
 「これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。(ヨハネ16:33)」このイエスの言葉に励まされ、押し出されていきたいと心から願います。
                                                (たいら あいか)