命をはぐくむ海にも陸にも、軍事基地は許されない

川野 安子 日本キリスト教婦人矯風会理事長

矯風会は、大正時代から軍縮会議に署名を届けるなど武力によらない平和を願い、活動を続けてきた。しかし太平洋戦争時代には、大勢に順応し立ち位置を失ってしまった。その反省に立って平和運動を行っている。7月1日「集団的自衛権行使容認」の閣議決定をしたことに注目の集まった同じ日、辺野古の海への「臨時制限区域」が布かれた。違反した場合は、刑事特別法が適用される。市民の反対運動を阻止するための法的措置だ。私たちは直ちに、辺野古新基地建設中止要請書を首相、防衛大臣に送った。沖縄は2012年9月オスプレイ強行配備に反対する10万人集会で県民の総意を示した。13年1月には米軍普天間飛行場の県内移設断念を求めて沖縄県の全41市町村長らが署名した建白書が安倍首相に手渡された。しかしいま辺野古では、工事が着々と進められている。連日の猛暑の中キャンプシュアブの前で中止を求めて抗議行動を続けている緊迫した状況がネットを通じて伝えられてくる。11月予定の知事選挙は、辺野古新基地が大きな争点となっているので、知事選の前に既成事実としてしまおうという政府の動きであろう。米国内では危険なオスプレイの飛行は市民の反対で中止したのに、世界一危険な基地のもとに暮らしている沖縄の苦しみが届いていないのか、市民の声は届いているのか。矯風会はアメリカ政府に市民の思いを届けようと、オバマ大統領はじめ政府高官、下院議長に手紙を送った。11月キャロライン・ケネディ大使の着任に合わせて普天間基地の返還、沖縄の人びとの安心安全な暮らしを守るよう期待をこめて手紙を書いた。12月には、防衛省の保全措置では「環境保全は不可能」と指摘し、環境の観点からも辺野古への飛行場建設は望ましくないとの考えを明確にしていた仲井眞知事に,普天間基地早期返還、島民の総意を尊重し初心を貫くよう要望書を送った。しかし残念な結果に終わった。矯風会の沖縄研修旅行で基地返還後の読谷村の基地経済からの脱却の成功例を学んだ。沖縄県のホ−ムペ−ジにも基地経済の比重は大幅に低下し、過重な米軍基地の存在が、地域の振興開発を図る上で大きな制約となっていると記している。基地経済はお金を注ぎ込んでも豊かさを生み出すことは出来ない。基地の返還が平和な生活を取り戻すと共に、経済的な利益をもたらすことは明白になっている。美しい辺野古の海は命をはぐくみ、人びとを豊かにする。この海に殺戮のため、戦争のための軍事基地を作ることは許されない。平和をつくりだす者の一人となって沖縄につながって行こう。                      (かわの やすこ)




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