歴史の主に信頼して新たな一歩を


キリスト者平和ネット事務局代表
鈴木伶子(すずき れいこ)



 9月14日と15日、キリスト者平和ネット全国集会が、四ツ谷のニコラ・バレ修道院と岐部ホールで開かれました。参加者は1日参加も含めて70余人でした。
 テーマは「今こそ憲法を活かそう−平和を実現するために」でした。このテーマを決めたとき、平和ネット事務局会はとても深刻な気持ちでした。憲法9条には自衛軍の規定が盛り込まれ、1章には天皇が君主と記され、政教分離も「習俗」は除くなど、平和主義、民主主義、基本的人権など現行憲法の基本が崩され、その地ならしはすでに、沖縄の基地強化、教育界の締め付けなどに、3.11の原発惨事にもかかわらず政府・財界は原発依存を続けようとし、死刑・冤罪という生命軽視が行われているからです。今までに無い深刻な事態だという認識でした。集会でも、公開講演では憲法の危機が語られ、分科会では、それぞれの課題の深刻な状況が語られました。
 それにもかかわらず、全国集会の雰囲気はとても活発で、終わったときには参加者が、明るい顔で、力づけられた、励まされた、と異口同音に語っていました。
 それは、重い課題に取り組んでいるにもかかわらず、発題者、そして参加者の一人一人の人がキリスト者として何をなすべきかを見据えて確固として立ち、具体的な取り組みをなし、一歩一歩前に向かって進んでいる証言を聞いたことにあります。公開講演で渡辺治さんが、各地の9条の会の数と世論調査での9条改憲反対人数が比例しており、改憲派も無視できない状況になっていたと話されたことは、その顕著な例でした。自分たちは非力だ、小さな活動だと思っていることでも、社会の流れを変えられるのだと、改めて気持ちを引き締めました。
 また、これから平和ネットとして、取り組んでいく具体的な課題をきちんと挙げられたことも、今後への期待を盛り上げました。
 相変わらず政局は混迷し、政治家は、自分の利益のみを考え、財界の顔色を伺い、米国との同盟関係の強化だけを目指すなど、国民不在の政治が行われています。その中で、沖縄ではオスプレイ配備強行、米国の強姦と一日も安心して生きられない状態です。原発再開の手続きも着々と進んでいます。
 私たちは、イエス・キリストから学ぼうと、「聖書を読む会」の連続講座を開き、平和の課題に取り組むキリスト者の理念を確立しようと願っています。また勉強会の講師や資料のリスト作りや、神学生と一緒に歴史の勉強をしたいとも考えています。「福島原発告訴団」の訴訟に参加することも語られました。
 平和をめざす私たちの行く手は暗く厳しいと予想され、私たちを惑わす道も多いかと思います。しかし私たちは、神が歴史を導いておられ、それゆえ闇は光に打ち勝つことはないと信じています。イエス・キリストの生き方に目を留め、その御言葉を唯一の指針として歩み続けたいと願って集会を終わりました。





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