忘れるな福島第一原子力発電所の災害


日本キリスト教婦人矯風会会長
佐竹 順子(さたけ まさこ)


 2011年3月11日の東北関東大震災の未曾有の被害に、国民は呆然としていた。ところが次々と起こる福島第一原発の異常事態は、私たちを震え上がらせた。日頃から地震のたびに一番恐れていた事が、とうとう起こってしまった。

・核兵器廃絶、被爆者支援、脱原子力発電

 これは平和部の活動として早くから取り組んできた課題である。脱原子力発電の研修会では、講師の故高木仁三郎氏から大地震に弱い原子力発電に依存しないために、政府にクリーンエネルギーを活用するよう働きかけるご指導を頂き、通産大臣には、波力や風力発電研究の予算措置をと、はがき陳情したのも思い出される。1986年のチェルノブイリの大事故から学び、原発建設には慎重になるかと期待したが、やはり国の施策変更には良識ある民意の大きなうねりが必要なのだろう。今回の福島原発のこの恐怖を政府も国民も決して忘れてはならない。

・急性脊髄性白血病で永眠されたK姉

 平和部員として活動を続けていたK姉が、2月に永眠された。この病気の原因は、女学生のとき原爆投下間もない広島を、行方不明の友人を探し回ったために被爆したことだと話されていた。K姉の無念さはいかばかりかと察せられる。原子爆弾も初めてで、それから出る放射線等、知る由もない、戦争中の出来事なのである。まして今や平和の中で十分な情報を持ちながら、放射線物質を人体に浴びる危険はゆるされない。K姉の死を無にせずの思いである。

・みことばに応えて 共に支えあう社会へ

 これが2011年度の矯風会の主題である。なぜ、平和運動をするのかと問われれば、私たちは、みことばに応えてと答える。なぜ”平和を実現するキリスト者ネット”の会員として連なるのかと問われれば、やはりみことばに応えた仲間と共に活動すべきだからと答える。そして私たちは互いに支えあう社会を目指したい。支えあえるのは、平和で友好的な関係であるからこそ出来るので、対立や紛争の中では決して実現できない。同国民が政府と反政府とで争うリビアがなんとか戦いを終結してほしい。いまだ記憶に新しいチリでの落盤事故で、全員が救出されたとき、全世界がテレビを通じて喜びと祝福の思いで一つになったはずである。本来人間は、やさしい支えあう本能を持っていると私は信じたい。

・世界祈祷日テーマ:あなたはパンをいくつ持っていますか―チリからのメッセージ―

 今年のテーマは、まさに支えあう精神を表現している。私たちは神に支えられ、その感謝を他者に向けて支えることが出来るとしたら、これ以上の喜びはない。私のパンとあなたのパンを合わせれば、もっと多くの人を支えられる。さあ、皆でパンを持ち寄り、東北関東震災被災者を支えよう。力をくださいと祈りつつ。




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